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慶應大文学部日本史・過去問から見る近年の傾向

6年間の過去問を分析してみると、慶應大学文学部の日本史は、通史理解を土台とした、発展的な問題が多く出題されています。教科書を大きく逸脱するような、高度な、言い換えれば難問奇問も多いことから、要求されるレベルは非常に高いと言えます。ずいぶん昔の話ですが、早稲田大学で「ペリーの黒船は何隻だったか」という出題があり、ある新聞が「それが歴史理解と何の関係があるのか」と批判したことがありました。確かにそうなのですが、早慶レベルになると普通の問題では差がつきません。マニアックな出題をせざるを得ないのは、ある意味当然のことです。

先生が生徒に興味を持たせる話をするために、授業ノートの片隅に書き込んでいるような話題が出題されています。学校で良い点を取っているというレベルでは、なかなか高得点は望めません。裏話、エピソード、逸話、文学作品の内容など、一歩踏み込んだ知識が要求されます。一方で、本当に基礎的な問題も出題されるので、実際には取りこぼしの有無で合否を分けることが多くなりそうです。

慶應大学文学部では、高校で令和4年度から学年進行で採用されている新科目「日本史探求」を先取りしているような問題が出題されています。教科書を完璧に覚えているというようなことではなく、興味を持って歴史を追求するような、知的レベルの高さを要求しています。しかしこれについては、ターゲットがあまりにも広い、捉えどころのないものなので、折を見て用語集を読み込んでいく以外に、効果的な対策を講じる事は難しいです。逆に言うと、ほとんどの受験生が答えられないのだから、他の問題で取りこぼしをしない知識を持つことのほうが重要で、運が良ければ、その地道な学習の延長線上に、この種の問題の解答があるということです。

時代別に見ると江戸時代はコンスタントに出題されています。次いで古代が平安時代を中心に必ず出ています。難易度はバラバラで、取りこぼしができない超簡単な問題も中にはあるので、ケアレスミスに要注意です。中世と近現代も必ず出ます。明治時代を除いて、出題頻度は高くありませんが、難問が多いです。

分野別では圧倒的に政治史です。これは、受験生に難問奇問の対策ではなく、土台となる通史理解学習を要求しているということです。文化も出題されなかった年はありません。特に、宗教(仏教)に絡んだ知識を問う問題が多いです。これもまた、政治史に偏った知識を求めているのではなく、時代ごとの総合的な歴史理解が重要になることを意味しています。