慶應大文学部日本史の傾向について

時代別の出題の割合を、一問ずつ細かく分析してみました。結果は以下の通りです。

文学部 割合
大和 10.0%
奈良 4.8%
平安 14.8%
鎌倉 10.0%
南北朝室町 9.7%
戦国 7.7%
江戸 29.7%
明治 11.9%
大正 1.3%
昭和戦前 2.3%
戦後 5.2%

江戸時代が約3割と突出して多く、明治、平安時代が続きます。江戸、平安時代は期間が長いこと、明治の場合、その45年間の歩みが濃厚であるということで、出題しやすいものと思われます。過去6年間を見る限りでは、時代をまたぐ問題はさほど多くなく、各時代で完結する出題が多いように思えます。その他の時代も大問で集中して出ている年もあり、ヤマを張るのはもちろん得策ではないです。大和時代以前の出題は、この6年間にはありませんが、過去10年では2010年、2014年、2015年にあり、無視するのは危険です。丁寧に最初から見ておきましょう。素直な問題はほとんどありません。教科書を欄外までしっかりと読み込み、用語集、資料集を駆使した徹底的な通史理解が必要です。次に、分野で見ていきましょう。

文学部 割合
政治 28.3%
経済 2.6%
法制 1.3%
外交 6.9%
地方 0.6%
文化 18.7%
年号 1.9%

当然、政治史が多く教科書の通史理解がかなり重要だということをここでも示しています。一方、文化(農業、技術なども含む)に関する出題が2割近くあります。宗教と教育に関する出題が目立ちます。これもまた、教科書をしっかりと読み込む必要を物語っています。用語を問われる問題が結構多く、用語問題集を徹底的にやり込んで、正確に語彙を増やす必要があります。その際には、用語を答える練習をするだけではなく、用語を聞いて簡潔に説明ができるように、書き出すトレーニングをしておいてください。
外交(国際交流)については、経済学部のように世界史の知識を問われるような問題はありません。そのかわりに年号を直接問う問題が出題されることがあります。2018年には、選択問題で8問も出題されています。年号は因果関係を抑えていく中で、要所要所で覚えて、注意を払っておくことが必要です。
過去6年間で出題が多かった江戸、平安時代は分野を問わず、知識を増やせるだけ増やしておきましょう。教科書のレベルを遥かに超え、学部レベル以上の日本史の知識を必要としているようなものまで出題されます。しかし、過去問を見てそれを闇雲に追いかけるよりも、教科書や資料集を深く学んでいく中で、人物や出来事に関心を持ち、重要だと思ったことについてはリサーチしてメモを書き込む。確認のために付箋を貼り付けておく。そういう地道な努力が、とらえどころのない問題への対策になります。